No.15

お母さんが帰って、このことをアラジンにつげますと、アラジンは、すぐにはお城へ行かれないと言いました。そして、まずランプのおばけを呼んで、 香水 ( こうすい ) ぶろと、王さまがお召しになるような金の ぬいとり のある着物と、自分のお供をする四十人のどれいと、お母さんのお供をする六人のどれいと、王さまのお馬よりもっと美しい馬と、そして、一万枚の金貨を十 箇 ( こ ) のさいふに分けて入れて持って来いと命じました。
  さて、これらのものがみんなととのってから、アラジンは着物を着かえてお城へ向いました。そして、りっぱな馬に乗って四十人のどれいを召しつれて行くみちみち、両がわに見物しているたくさんの人たちに、十箇のさいふから金貨をつかみ出しては、ばらばらとまいてやりました。見物人たちは、きゃっきゃっと言って大よろこびで、それを拾いました。しかし、その中のだれにだって、昔、町でのらくらと遊んでばかりいたなまけ者が、こんなになったとは気がつきませんでした。これはきっと、どこかの国の王子さまだろうと思っていました。
  こんなものものしいありさまで、アラジンがお城へつきますと、王さまはさっそくお出迎えになって、アラジンをおだきになりました。それから家来たちに、すぐお祝いの 宴会 ( えんかい ) と、婚礼の用意をするようにとおっしゃいました。するとアラジンは、
「 陛下 ( へいか ) 、しばらくお待ちくださいまし。私はお姫さまがお住みになる 御殿 ( ごてん ) を立てますまでは、婚礼はできません。」と、申し上げたのでありました。


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