No.1
- 著者の序文 -

次のページに示した詰めチェス問題が読者の一部をまごつかせたようなので説明 しておくけれど、これは駒の動きだけを考えれば正しく作ってあるのだ。赤と白が 交互に順番通り動くという点については、まあ実際より多少は厳密でないところも あるし、女王(クイーン)三つのキャッスリングは単に、三人が宮殿に入ったとい うことを表現することばのあやだ。でも六手目の白の王さま(キング)への王手、 七手目で赤の騎士(ナイト)が取られ、そして最後の赤の王さま(キング)の王手 詰み(チェックメイト)は、駒を実際にならべて指示通りに動きをやってみた人な らだれでもわかるように、チェスのルールにきちんとしたがっている。  『ジャバウォッキー』の詩に出てくる新語は、どう発音すればいいかについてい くつか見解の相違を生んでいるのでこの点についても指示をしておくほうがいいだ ろう。「slithy(俊(しゅ)るり)」は、「sly」と「the」の二語をくっつけたよ うな感じで発音すること (訳注:つまり、「スリジー」ではなく「スライジー」に 使い発音で。)。「gyre(環繰(わぐ)る)」と「gymble(躯捩(くねん)する)」 の G の音は、強く硬い発音で (訳注:つまりジャジジュジェジョではなくガギグゲ ゴの音で)。それと「rath(トグラ)」は「bath」と韻をふむこと (訳注:つまり 「レイス」ではなく「ラス」に近い発音で)。 1896年クリスマス

[イラスト: アリスと白騎士]


< back = next >
 < 目次 >