No.44

第 4 章

 トゥィードルダムとトゥィードルディー


――にちがいない、と思いました。

 (訳注:ここ、前の章の最後の文から、章題まで含めて続けて読んだってや。)

 二人は木の下に立って、おたがいに相手の首に腕をまわしております。どっちがどっちか、じきにわかりました。片方がえりに「ディー」とししゅうしてあって、もう片方は「ダム」とししゅうしてあったからです。「たぶん二人とも、えりのうしろ側に『トゥィードル』って書いてあるんでしょうね」とアリスはつぶやきました。

 二人とも、まるで動かなかったので、アリスは二人が生きていることを忘れて、二人ともえりの後ろに『トゥィードル』って書いてあるかどうかを見に、後ろにまわろうとしたとき、「ダム」と書いてある方が声をたてて、アリスはびっくりしてしまいました。

[イラスト: トゥィードルダムとトゥィードルディー]

「ぼくたちがろう人形だと思うんなら、見物料を払いなさいよ。ろう人形は無料で見るもんじゃない、如何様にも!」

 「対照的に、ぼくたちが生きてると思うんなら、なんとか言いなさいよ」と、「ディー」とついたほうがつけ加えました。

 「ええ、ほんとに心からごめんなさいね」アリスはそう言うのがやっとでした。あの古い歌の歌詞が、カチカチ言う時計みたいに頭のなかで鳴り響いていて、ついそれを口に出してしまいそうだったからです:――

「トゥィードルダムとトゥィードルディー
決闘しようと取り決めたわけ
なぜってトゥィードルダム曰くトゥィードルディー
新品のすてきなガラガラを壊しめたわけ

ちょうどお化けガラスが舞い降りて
墨ツボみたいに真っ黒で
英雄たちはこわがって
口論もすっかり忘れましたとさ」

 「きみが何を考えてるかわかるぞ、でもそれはそうじゃないんだぞ、如何様にも」とトゥィードルダム。


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