No.12

しかし最後には2人は別れた。夜の間の甘美な眠りといこいを夢にみながら。

 2人が別れる頃には夜明けを迎えていた。ロミオは恋人とのことや2人の楽しかった出会いのことを考えると、とても眠れそうになかった。そこで家には帰らず、修道士ロレンスに会おうと、修道院に向かった。

 修道士はすでに起きて礼拝をしていた。若いロミオがそんなに早くでかけてきたのを見て、前夜は床につかず、若者らしい恋の病にかかって眠れなかったのだろう、と言い当てた。ロミオが恋のせいで眠れなかったのだろう、という点では彼は正しかった。しかしその相手については間違っていた。修道士は、ロミオがロザラインを想って眠れなかったと考えていたからである。ロミオは修道士に、ジュリエットに対する新しい恋をうち明け、その日2人を結婚させてくれるよう頼んだ。彼は信心深い人だったので、ロミオが急に恋する相手を変えたのに驚いて、目を見張り両手をあげた。ロレンスはロザラインに対するロミオの愛情を個人的に知っており、ロザラインの尊大さに対してロミオがこぼした不平もよく聞いていたのだ。ロレンスはロミオにこう諭した、若人の愛は本当は心の中に宿るのではなくて目に宿るのだ、と。

 これに対してロミオは、あなたはよく、私を愛してくれないロザラインに夢中になりすぎると言って私を叱りましたね、でも、ジュリエットとはともに愛しあっているのです、と言い返した。

 


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