No.115
-訳したやつのいろんな言い訳-

 

 いやあ、ほかならぬこの本について、いまさら何かぼくがつけくわえることがあるかね? まあいちおう、さくしゃともとの本のことは書いておこうか。

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 この本を書いたのは、ルイス・キャロルという人だけれど、これはペンネーム。本名はチャールズ・L・ドジソンといって、十九世紀の前半くらいにイギリスの数学の先生だった人だ。この人は、ロリコンのへんたいで、ちっちゃな女の子をはだかにして写真をとるのがだいすきだった。いまならカメラこぞうとかいわれる人になったかもしれないね。

 このお話は、1865年に出版された。もとは近所の三人姉妹の女の子たちにせがまれて、ドジソン先生がその場の思いつきででっちあげたお話だ。アリスというのも、その女の子たちの一人。一番下の妹だった。お話のなかに出てくる「ダイナ」というねこも、この子たちがほんとうに飼っていたねこの名前なんだって。それがおもしろかったので、そのまま本にして出した。その後、ちょっと書き直したところもあるらしいけれど、まあほとんど変わっていない。それがベストセラーになって大評判になって……そしていままでつづいている。

 


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