No.25

「うげっ」とインコが、みぶるいして言いました。

 「なんですと?」とネズミが顔をしかめながらも、とってもれいぎ正しく言いました。「なにかおっしゃいました?」

 「ぼくじゃないですよ!」とインコはあわてていいます。

 「きみだと思ったんだが」とネズミ。「――先をつづけよう。『マーシアとノーサンブリアの太守たるエドウィンとモルカールはかれへの服従を宣言。さらにカンタベリーの愛国的枢機卿たるスティガンドも、より賢明なる策を見つけんとして――』」

 「なにより?」とアヒル。

 「も、より」とネズミは、ちょっときつい言い方でこたえました。「きみは『も』がわからんのかね」

 「『も』くらい知ってるけどね」とアヒル。「でもわたしが『より』るときには、なによりかはわかるもんだ。カエルより、とかミミズより、とか。でもわかんないのは、その枢機卿は、なにより賢明な策を見つけようとしたわけ?」

 ネズミはこの質問を無視して、いそいで先をつづけました。「『――より賢明なる策を見つけんとしてエドガー・アセリングとともにウィリアムに面会に赴き彼に王座を与えたのであった。ウィリアムの行いは当初は穏健だった。しかしその配下のノルマン人たちの傲慢ぶりは――』感想(かんそう)はどうだね、お嬢さん?」とネズミは、しゃべりかけでアリスに向かって言いました。

 「びしょぬれのまんま」とアリスは、ゆううつな声で言いました。「ぜんぜん乾燥してくれないみたい」

 「かくなるうえは」とドードーがたちあがって、おもおもしく述べました。「審議の一時中断動議を提出するものであります、しかる後に一層活力的なる対処法を遡及的速やかに採択すべく――」

 


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