No.39

 「でも、すっごくかわいいワンちゃんだったなあ」とアリスは考えながら、キンポウゲにもたれてやすんで、はっぱで自分をあおぎました。「芸を教えたかったなあ――あたしさえちゃんとした大きさだったら! あ、そうだった! あたし、また大きくならないと! わすれるとこだったわ。さーて――どうすればいいのかな? たぶんなんかしら、食べるかのむかすればいいんでしょうね。でもなにを? それが大問題だわ」

 たしかにそれは大問題でした。なにを? まわりをぐるっと見ても、花やはっぱは目に入りますが、いまのじょうたいで食べたりのんだりするのによさそうなものは、なんにも見あたりません。近くに、アリスと同じくらいのせたけのキノコがありました。アリスはその下をのぞいて、両側を見て、うら側も見てみたので、じゃあついでに、てっぺんになにがあるかも見てやろう、と思いつきました。

 つま先立ちになって、キノコのふちから上をのぞくと、その目がおっきないもむしの目と、すぐにばっちりあってしまいました。そいつはキノコのてっぺんにうで組みをしてすわり、しずかにながーい水パイプをすっていて、アリスも、それ以外のなにごとも、ぜんぜんどうでもいい、というようすでした。

 


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