No.96

 「こんなの暗唱してもらってどうしろってゆーの?」とにせウミガメが口をはさみます。「とちゅうで説明してくれなきゃ! ぼくがこれまで聞いた中で、一番わけわからんしろものだわ!」

 「うん、そのくらいにしとこうね」とグリフォンが言って、アリスはよろこんでそれにしたがいました。

 グリフォンがつづけます。「ロブスターのカドリーユおどりを、べつのやりかたでやろうか? それともにせウミガメに歌をうたってほしい?」

 「ああ、歌がいいです、おねがい、にせウミガメさんさえよろしければ」アリスのへんじがあまりに熱心だったので、グリフォンはちょっと気を悪くしたようです。「ふん、まあいろんなしゅみの人がいるからね! おいだんな、この子に『ウミガメスープ』をうたってやってくんない?」

 にせウミガメはふかいためいきをつくと、ときどきすすり泣きでつっかえる声で、こんな歌をうたいだしました:

* * * * * *

「みごとなスープ、みどりのどろどろ
あつあつおなべでまっている!
だれでものりだすすてきな美食!
ゆうべのスープ、みごとなスープ
ゆうべのスープ、みごとなスープ
みぃぃごとぉなスゥゥゥプ!
みぃぃごとぉなスゥゥゥプ!
ゆぅぅぅべのスゥゥゥプゥ!
みごとなみごとなスープ!」

「みごとなスープ!
さかなもおにくもサラダもいらぬ!
二ペンスほどのみごとなスープ
でだれもがすべてをなげだしましょう!
みごとなスープが一ペンス!
みぃぃごとぉなスゥゥゥプ!
みぃぃごとぉなスゥゥゥプ!
ゆぅぅぅべのスゥゥゥプゥ!
みごとなみぃごとなスゥゥゥゥプ!」

* * * * * *

 


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