No.1

 

昔、ヴェロナの2大名家といえば、ともに富豪である、キャピュレット家とモンタギュー家とされていた。両家は昔から争いあい、それが高じて、互いに憎みあうほどになっていた。そうした心理は、一族の遠縁のものや従者にまでおよんでおり、そのためにモンタギュー家の召使いがキャピュレット家の召使いに会ったり、キャピュレット家の人がモンタギュー家の人にたまたま出会っただけで、激しい口論が起こり、時には流血事件にまでなるようになった。こうした偶然の出会いから起こるけんかにより、ヴェロナの町における幸福な平和はたびたび破られていた。

 ある日、老キャピュレット卿が一大宴会を主催し、貴婦人や貴族をおおぜい招いた。ヴェロナでも評判の美人はみな出席し、モンタギュー家の者でさえなければ誰でも歓迎された。

 


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