No.14

 式が終わると、ジュリエットは家に急ぎ、夜になるのをいらいらしながら待った。その夜、ロミオはジュリエットと前の晩に会った果樹園に来る約束になっていた。それまでの時間は、彼女には非常に退屈なものに感じられた。まるで盛大なお祭りの前の晩に、新調した晴れ着をもらった子どもが、朝までそれを着てはいけませんといわれていらいらしているかのようだった。

 その同じ日の昼ごろ、ロミオの友達であるベンヴォリオとマーキューシオとがヴェロナの町を歩いていて、キャピュレット家の一団に出会った。その先頭には短気なティバルトがいた。彼こそは、老キャピュレット卿の宴会で止められなければロミオに決闘をいどんだであろうあの男である。ティバルトは、マーキューシオに会うと、彼がモンタギュー家のロミオと交際しているのを遠慮なく攻撃した。マーキューシオも、ティバルト同様に血気盛んで激しやすい性格だったから、これまた遠慮なくやりかえした。ベンヴォリオが2人の間をいろいろとなだめたのだが、2人はけんかを始めようとしていた。ちょうどそのとき、ロミオ自身がそこに通りかかった。怒り狂ったティバルトはマーキューシオからロミオへと矛先《ほこさき》を変え、悪党とか何とか人を侮辱する名前で呼んだ。

 


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