No.31

 これ以上は、修道士は陳述を続けられなかった。また、彼自身がここに来たのはジュリエットを救い出そうとしたためにすぎず、また、パリス伯とロミオが殺されているのを見つけた、ということ以外には何も知らなかった。

 報告の残りは、パリスとロミオが戦っているのを見た侍童の陳述と、ヴェロナ追放以来ロミオに付き従ってきた従者によって補われた。従者は、あの忠実な愛人から、自分が死んだら父に渡してくれと託された手紙を持っていた。その内容は、修道士の言葉を裏書きするものであった。ロミオはその中で、ジュリエットと結婚したことを告白し、そのことを両親が許してくれるようにお願いしていた。貧しい薬屋から毒薬を買ったこと、墓地に行って、死んでジュリエットと共に永眠したいという意向がしたためてあった。

 これらの事情はすべてつじつまが合っていた。修道士がこの複雑な殺人事件には何ら関わっていないことが明らかになった。この事件は、修道士がよかれと思って人為的で小器用な計画をめぐらした結果、意図せずして起こってしまったにすぎなかったのである。

 そこで公爵は、モンタギュー・キャピュレット両老公の方へ向きなおり、彼らが野蛮かつ不合理な敵意を互いに持っていたことを責め、天がそれを罰したもうたのだ、そなたたちの不自然な憎悪を罰するために、そなたたちの子どもの恋愛でさえも使われたのだぞ、とさとした。

 


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