No.30

 夜警はもうすぐそこまで来ていた。パリス伯の侍童が、パリスとロミオが格闘していたのを目撃しており、それを夜警に伝えた。そのことが市民たちにも伝わってきて、ヴェロナの町中が上を下への大混乱に巻き込まれた。市民にはいいかげんな噂が伝わっていたので、「パリスという人!」「ロミオという人!」「ジュリエットとか!」などとでたらめに叫び回っていた。その騒ぎがモンタギュー卿やキャピュレット卿、さらには公爵にまで伝わり、何事が起こったのか取り調べが始まった。

 あの修道士は墓地からでてきたところを夜警に捕まっていた。彼はふるえながら、ため息をつき、涙を流していた、つまり、挙動不審な様子をしていたのだ。

 群衆がキャピュレット家の墓の前に集まってきた。公爵は修道士に、このような奇妙な惨事について知っていることを述べよと命じた。

 修道士は、モンタギュー・キャピュレット両老公の前に進み出た。そして神妙な態度で陳述をはじめた。「両家の子どもたちが命がけで恋をしていました。私は2人が結婚する手引きをしました。それによって両家がずっと抱いていた互いへの恨みを終わらせたかったからです。そこに死んでいるロミオはジュリエットの夫であり、ジュリエットはロミオの忠実な妻でありました。2人の結婚を公にする機会がなく、そのうちに、ジュリエットのために別の縁組みが計画されました。ジュリエットは、重婚の罪を避けようとして、眠り薬を飲んだのです(これは私が勧めました)。みんな、彼女は死んだと思いこみました。その間に、私はロミオに、ヴェロナに帰ってきて、薬の効力が終わるころにジュリエットを連れていきなさい、と手紙を書きました。しかし不幸なことに、使いの者がロミオに手紙を届けられなかったのです。」


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