No.29

というのは、修道士がジュリエットに約束した、覚醒の時間が来ていたのだ。そして、修道士は、彼がマンテュアに送った手紙が、使いの者が不運にも足止めされたために、ロミオに届かなかったことを知ったので、つるはしと提灯を持って、自分の手でジュリエットを死の場所から救い出そうとやってきた。ところが、びっくりしたことに、キャピュレット家の墓の内部で、すでに灯がついているのを見つけたのだ。それに、あたりには刀や血潮が飛んでおり、ロミオとパリスが墓のそばで息絶えていたのだ。

 どうしてこんな惨事が起こったのかを推測する暇もないうちに、ジュリエットは昏睡状態から目覚めた。そばに修道士がいるのを見て、ジュリエットは自分がどこにいるのか、そしてなぜそこにいるのかを思いだし、ロミオがどこにいるのかを尋ねた。しかし、修道士は人の声を聞いたので、そのような死と不自然な眠りの場所からでてきなさい、私たちが逆らえない偉大なる力が、私たちの企てをくじいてしまったのだ、と言った。そして、人の声が近づいてきたのにおびえて、修道士は逃げてしまった。一方ジュリエットは、自分が真実愛した人の手に握られている杯を見て、毒薬によってロミオが最期を遂げたと判断した。もし少しでも毒薬が残っていたら、ジュリエットはそれを飲んでしまっただろう。ジュリエットはまだ暖かいロミオの唇に接吻した。まだ毒がそこに付いているか試したのだ。人の声がますます近づいてくるのを聞いて、ジュリエットは急いで、持っていた短剣のさやを払い、自分の身を刺し、誠実なロミオのそばで死んだ。


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