No.4

 ロミオがこのように彼女をほめたたえているところを、キャピュレット卿の甥であるティバルトに聞かれてしまった。ティバルトは、声を聞いてロミオだと知ったのである。ティバルトは火のように激しい気性の男であったから、モンタギュー家の者が仮面で顔を隠して、一族の祝祭をばかにしたり侮辱したり(ティバルトがそう言ったのだ)するのには我慢がならなかった。彼は怒りにまかせて暴れまわり、若いロミオを殺そうとした。しかし、ティバルトのおじ、老キャピュレット卿は、その場ではティバルトが客人に危害を加えるのを許さなかった。宴会に来ていたお客に対する配慮もあったし、ロミオは紳士らしく振る舞っていたし、ヴェロナ中の人がみなロミオのことを立派な落ち着いた青年として誇りに思っていたからだ。ティバルトはしぶしぶながら我慢せざるを得なかった。しかし、いつかこの性悪のモンタギューにここにもぐりこんだ事の償いを存分にさせてやる、と言いのこした。

 ダンスが終わると、ロミオはあの女性が立っているところを見つめていた。仮面をつけているおかげで、多少の無礼は許してもらえそうだったので、大胆にも彼はそっと彼女の手を取り、それを聖地と呼び、もしこれに手を触れて汚《けが》したのであれば、自分は赤面した巡礼だから、償いのために接吻させて欲しい、と言った。

 


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