No.5

第 1 章 鏡のおうち


[イラスト: 黒い子ネコ]

 一つ確実なのは、白い子ネコはなんの関係もなかったということ:――もうなに もかも、黒い子ネコのせいだったのです。というのも、白い子ネコは年寄りネコ に、もう四半時も顔を洗ってもらっていたからです(そしてその状況を考えれば、 なかなかがんばって耐えていたと言えましょう)。というわけで、白い子ネコはど う考えてもいたずらにはまったく荷担していなかったのはわかるでしょう。  ダイナはこんなふうにして子どもたちの顔を洗ったのでした:まずかわいそうな 子を耳のところで前足片方を使っておさえこみ、そして残った前足で、子どもの顔 中をこすります。それも鼻からはじめて変な方向に。そしてちょうどいま、ぼくが こうして話している間にも、ダイナはいっしょうけんめい白い子ネコを片づけてい ます。白い子ネコはほとんど身動きせずに、のどをならそうとしていました――こ れもみんな自分のためを思ってのことなんだ、というのを感じていたのはまちがい ありません。

 


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